菊地隆知『長井の山』
菊地隆知は長井市出身の版画家であり、県内外で活躍しました。日本板画院には54年にわたり出品し、山形県総合美術展(県美展)無鑑査作家として毎年出品してきました。31歳の頃に、以前の怪我がもとで右半身が不自由となりますが、以降も左手一本で一層の熱意を持って作品を作り続けた不屈の作家です。70歳で斎藤茂吉文化賞、75歳には棟方志功賞を受賞し、山形県を代表する版画家としての地位を確かなものとしました。
モチーフとしては、地元の風景を刹那的に切り取り、哀愁を漂わせつつも対象への愛を感じる『旧家・廃屋』シリーズや、一転して版画ならではの陰影を活かして夜の街を描いた『街』シリーズ、地元山形の駅を題材とした『駅シリーズ』など多岐にわたります。
菊地隆知作品は、現時点(2024年12月)で約500点の作品をアーカイブにて公開しています。今回はその中から、菊地隆知の作品世界の幅広さが楽しめる、異なるジャンルから作品を選抜しました。菊地版画の世界をご覧いただき、ぜひお気に入りの作品を探してみてください。