本コレクションは、かつて近隣の印刷業を一手に担っていた芳文社の代表であり、熱心な美術愛好家でもあった故・加藤嘉志朗氏が蒐集した近代彫刻を中心としたコレクションです。約80点に及ぶ作品が、氏の旧宅を改修した芳文庫ギャラリーとともに、遺族によって平成27年に長井市に寄付されました。
コレクションの内容は多岐にわたり、オーギュスト・ロダンやアントワーヌ・ブールデルをはじめとする19世紀を代表する海外作家の作品もコレクションに含まれています。また、佐藤忠良や朝倉響子といった20世紀を代表する国内作家の作品も多く、加藤氏の美術に対する造詣の深さがうかがえます。このほか、新海竹太郎、新海竹蔵、桜井祐一、吾妻兼治郎といった山形県の近代美術を語るうえでは欠かせない作家も網羅されています。
長井市は、彫刻家・長沼孝三が生まれ育ったまちでもあることから、加藤氏は彫刻作品に強い関心を抱いていたのかもしれません。加藤氏は、本コレクションを芳文庫ギャラリーにて広く公開することを望んでいましたが、残念ながら一般公開に至る前に逝去されました。加藤氏の想いの詰まった珠玉の彫刻コレクションを本アーカイブにてぜひご覧ください。